ジャイロジェット ピストル

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− 2008年9月 追記2 −(もっと下の方にあります)

− 2008年2月 追記 −(下の方にあります)

 

アメリカ式発想

"The Dream Of Yesterday Is The Hope Of Today And The Reality Of Tomorrow"

- Robert Goddard -

火縄式 → 火打ち石式 → キャップ式 → ピン・ファイア → リム・ファイア → センター・ファイアと銃と銃弾は進化し続けてきましたが、その歴史の中でも特に異彩を放つ一品がこのMB Associates製ジャイロジェット・ピストル(別名: ジャイロジェット ロケット ハンドガン Gyrojet Rocket Handgun)です。 私の家の近所、カリフォルニアはSan Ramon産です。 と言っても60年近く前の話ですが。

当時、時はまさに宇宙開発ブーム。 旧ソ連とのしのぎを削る技術開発競争が民間まで行き渡っていたのかは良く知りませんが、「火薬を燃やして発生するガスの圧力で弾を飛ばすなんてもう古い、時代はロケットさ」と言う単純な発想から開発が始まったのはほぼ間違い無いでしょう。 アメリカ人ってそういう人種だから... ←褒め言葉です

 

すれ違い

この鉄砲、昔のGun誌の特集で読んだ記憶があり名前は知っていましたし過去何度かガン・ショーでも見かけた事がありました。 確か純正の紙箱入りで$700前後の値札が付いていた様な気がします。 紙箱入りなのでMark I モデルBでしょうか。 でも当時はもっとメカメカしい機械然とした銃にしか興味が無く、更に$700と言えばAR15ライフルやコルト・パイソンが買える値段帯でしたのでこんな変な銃を買おうと言う発想は出て来ませんでした。 うーん、先見性の欠片もありませんね、私。 まぁ最も、仮に買ったとしても弾も無く、撃てるレンジも無かったのですぐ手放していたでしょうから買わなくて正解だったのかも知れません。

 

プラモデル

今月号の雑誌の付録はスペース・ガン組み立てキットです! って言ったら信じます? 信じますよね、もし蓋を開けて出てきたのが↓こんなのだったら... あえてそれを狙って子部品を袋詰めして見ました。


組み立て説明書は何処ぢゃ?

発売当時、こんなのが(勿論完成品として、ですよ)コルト・ガバメントと同じかそれ以上の値段で店頭に並んでいたそうです。 そりゃ確かに余程の酔狂か宇宙オタクしか買わないわな。 ちなみに左右のグリップ・パネル(ウォルナット製)はフレームに接着されているらしく外せませんでした。

下の写真は実際の内部構成に極力近付けて部品を並べた状態です。 ホント、まんま「ブリキのおもちゃ」ですね。 このモデルは初期型(Mark I)なのでスライドすらありません。 ロケット弾の装填は写真右上にある蓋を時計方向に回転させて行います。 マガジンは勿論脱着式ではありません。

  
中の具です

 

必要にして十分

バレル、と呼んで良いのかどうか躊躇う程に貧弱なインナーバレル、平たく言うと単なるステンレス?の筒です。 勿論ライフリングなんて高尚な物はありません。  このMark Iは13mm(=51口径)ですが、1968年の法改正で50口径を超える物は「銃」では無く「破壊兵器」扱いとなった為、後の生産は12mm(=47口径)のMark IIへと切り替えられました。

幾らロケットの噴射ノズルに角度を付けて自転する様にしているとは言え、やはりライフリングなしの単なる筒では迫力がありません。 おもちゃのエアーガンですらライフリングがありますからね、今時。


迫力のインナーバレル

 

おーい、ネジ、ネジ!

アメリカン・クオリティ爆発です。 今との相対物価で10万円以上する鉄砲が

  ・左右貼り合わせの「最中」構造
  ・仕上げは「ブリキのおもちゃ」レベル
  ・ネジがタッピング・ネジ

です。 それもホームセンターで普通に売られている一番安いグレードの奴。 更に驚くべきは、5本あるネジのうちバレル近辺(=フレーム厚が薄い)の2本は普通のネジをペンチでぶった切った物を使用しています。

...こう言うのを見てしまうと、スペースシャトルなんか怖くて乗れないよね... そりゃ落ちるって。


ネジ2種類

弾を捜して三千里

さて銃も無事に手に入ったし、これから弾捜しの始まりです。 やっぱり一度位は撃ってみたいですしね。 弾が10発位集まったら実射して報告する予定ですが、果たして何年掛かる事やら。 弾が手に入ったら今度は撃てるレンジ探しも待っていますし、今回ばかりは道は長そうです。

 


− 2008年2月 追記 −

 

弾は何処ぢゃ

↑で弾を捜す旨を書いてから既に半年以上経過していますが、弾の入手は予想以上に難航しています。 ちなみに探しているブツはこんな感じの物体です。 弾頭が薬莢から分離して飛んで行く一般的な弾薬とは異なり薬莢という概念がそもそもありません。 昔TVアニメのルパン三世で銃から薬莢毎発射される描写(=間違い)を良く見ましたが、これはまさにそんな感じです。


左: 45ACP実包 / 右: 13mm実包

本体丸ごと飛んで行く為、底面にはジェットの噴射口があります。 中央に見えるのはプライマー(雷管)です。 資料によれば本体は銅めっきの鉄製だそうです。


斜めに傾斜した噴射ノズルが4本

 

責任者、一歩前へ

弾を集めるに当って最大の問題は値段...ではありません。 勿論安くは無いですが、そんな事は銃を買う時点で既に分かっています。 それに高いと言っても精々一般的な弾の100〜150倍位ですし。 高いよね、やっぱり...

本当の問題は弾の外見から実包とダミーの区別が出来ない事なんです。 様々な技術的問題を解決する為、製造方法や仕様、更には形状までもがコロコロと変更されていったこの弾には、「これが正式」といった指標が全くありません。 つまり当時弾を新品購入した本人で無い限りどれが実包でどれがダミーなのかすら判別出来ないんです。 まぁ空港にあるような爆発物探知機にでも掛ければ分かるんでしょうけどね。

ちなみに現時点で集まったのは8発ですが、もう既に5種類の違った仕様、形状に跨っています。 (右端の銀色2発はプレゼンテーション・ケースに付属したダミーです)

   
外形、カシメ方、ノズル数、更には表面処理まで違います

1) 本体(弾頭)形状 --- 流線形(角度: 急)、流線形(角度: 緩)、円錐形

2) 噴射ノズルの数 --- 2本、4本

3) 噴射ノズルの処理 --- めっき処理、未処理

4) カシメの方法 --- ロール・クリンプ、サイド・グルーブ、その他(不明)

更にはプライマーの種類や固定方法、噴射ノズルの径や角度も微妙に違いますし防水処理の有無、方法もまちまちです。 うーん、駄目かな、こりゃ?

 

ダミーっぽいダミー

現状手持ちの中で確実にダミーと判明しているのはケースに付属してきたクロームめっき処理された弾2種、計9発です。 が、通常の実包と同じ銅めっき処理されたダミーの存在も示唆されていますので油断は出来ません。


手持ちのダミー2種

詰まる所、売主の話を100%信用するしかなさそうです。 うーん、結構な博打だなぁ。 多分続く...

 


− 2008年9月 追記 −

 

弾の迷宮

ジャイロジェットの弾を捜しはじめて既に一年以上が経過しましたが、ぼちぼちと結果が出始めました。 現時点で集まったのは13mm弾(mk I 専用)が7種類48発と、12mm弾(mk II 専用)が1種類13発の計61発です。 12mm版の mk II ピストルは持って居ないので特に弾を買う必要は無かったのですが、この手のブツは「見つけたら買う」のが大原則ですし、それに銃本体はその気になれば何時でも手に入りますから。

さて銃を買った当初は「弾が10発位集まったら実射を...」と思っていたのですが、過去の資料を色々と紐解いて行くうちに驚愕の事実が分かってしまいました。 何とこの銃、というかこの弾、発売当初の60年代で既に約1%の不良率(未発火等)を記録していたそうです。 100発に1発の不良... 現在商業市販されている弾薬(新品・リロード全て含む)で100発に1発不良があったら確実に会社潰れてますよね。 って言うか間違いなく訴訟の嵐でしょう。 例えそれが統計上は 1/10,000 や 1/100,000 であっても初弾でそれに当たったら確実に自分の命は無い訳ですし、私個人的には 1/1,000,000 でも論外です。

注1:
形状不良による装填不可と装填後の未発火では同じ不具合でも重みが全然違います。 形状不良(主にサイジング不良やケース破損による)は装填時(=戦闘態勢に入る前)に除去出来ます。

注2:
自分の銃すらまともにメンテ出来ない素人衆にオートジャムの異名で知られる44オートマグでもチャンバー内の弾は確実に発射出来ます。

その20年後の80年代の実験では未発火、遅延発火等の不具合が約3割と記録されていますので、それから更に20年以上経っている2008年現在の不良率は5〜6割超と見るのが正しいでしょう。 レンジ(の一部)を借り切ってクロノ数台噛ませて撮影班呼んで、って考えると100発位集めないと実射は無理ですね。

Gyrojet弾薬の形状と仕様に関しては独立した資料に纏めましたので良かったらご参照下さい。

Gyrojet Ammo Gallery

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