Photo: 10/22/2002

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最初に:

以前何度となく「実銃は仕上げが粗く、日本製のモデルガンの出来には遠く及ばない」と言う言葉を友人から聞いた事があった。 しかし、子供の頃からGun誌を読み、実銃(特に拳銃)に憧れていた俺にはその言葉を素直に信じる事が出来なかった。 いや、正確に言うと何かと理由を付けて信じないようにして来た。

更に日本国内に居る場合、資料となるのは知り合いの持っている猟銃かGun誌等の写真雑誌しか無く、益々その傾向に磨き(?)が掛かってしまう。 でも実際は

猟銃:
日本で売る場合、高い値札をぶら下げざるを得ない為、業者もそこそこの物しか輸入しない。 国産については半端なメーカーはもう生き残っていない。 以上の理由より、国産、輸入共にレベルが高い。

Gun誌等の写真:
ブスなモデルって余り居ないでしょう? それと同じで写真雑誌と言う商売柄、どうしようもない物は撮っても売れないので撮らない。 どうしても撮る場合、なるべく粗が目立たず、良い部分が映えるように撮る。 銃そのものよりもカメラマンの力量の世界。

な訳で、100%では無いにせよ友人の言葉に同調せざるを得ない事実が残念ながら存在する。 じゃあ有名なオートマグは? と言うと... うーん... (沈黙)... 1960年代のS&WやColtのような美しい仕事とは無縁の世界である、とだけ言って置こう。

...で終わったら余り意味が無いので、「余り夢をぶち壊したくは無いけど現実を正しく見据える事も大事」と言う趣旨の元、オーナー以外余り知らない表面仕上げの違いや粗さに付いて掘ってみましょう。


- Frame -

   

左から (試作品・加工前)、Pasadena Custom、TDE North Hollywood、TDE El Monte、AMC Covina、(MGC HW)

左から右に行くほど年代が新しくなります。 試作・未加工フレーム(60年代後半?)、Pasadena(#3桁)、North Hollywood(#4000番台)、El Monte(#6000番台)、Covina(#7000番台)。 Pasadena以外は一切手を加えていない工場出荷+経年変化状態です。

初期のモデル(PasadenaとNorth Hollywood)には安物のプラモデルを髣髴させる程クッキリ、はっきりとしたパーティング・ラインがあり、鋳型の跡も「砂型?」と疑う程の豪快さです。 日本人の感覚からすると時価平均で$2000以上の銃には絶対に見えません。

ただ、後期モデルになるにつれて表面の梨地(鋳型の跡)がスムーズになり、最後にはパーティング・ラインまで無くなります。 「時代の変化と加工技術の向上かねぇ」 と感心する事しかり。 とは言ってもトリガー・ガード内のパーティング・ラインはしっかり健在なので、「マルシン工業の金属製オートマグはその辺まで実銃に忠実に作られています」と言う嘘もそのまま通るかも知れません。

ちなみに貴重なEarly Pasadenaモデルをカスタム&鏡面仕上げにした理由は単純で、単に見た目が汚かったからです(^^;。 別に投資や販売目的で買った訳じゃないし、どうせコレクションするなら綺麗な方が良いでしょ。

Pasadena はカスタム・フレームに鏡面加工、Covina はJurras製研磨ボルト入り。 それ以外はノーマルのまま。

 

- Finish -

最も仕上げの違い・粗さが出ている(であろう)写真。

TDE North Hollywood (#4000番台)

North Hollywood のフレームは基本的にPasadenaモデルの2nd品で、経年変化で含有オイルが染み出して来て黒く変色するのが特徴です。 よって型の粗さや仕上げのレベルはPasadenaと全く同じです。

ただ銃として見た場合、出荷時の調整が最も良く成されていて作動が(オートマグとしては)快調な為、コレクションと言うよりも「撃つ為」のオートマグとして珍重されています。

バレル部は薄いヘアラインを残した切削加工で全体的にとても美しい仕上げとなっているのに対し、フレーム部は鋳物に必要最低限の追加工を施しただけの物で化粧っ毛は全く無く武骨。 「バレルに金を掛け過ぎてフレームまで金が回らなかった」と言うのは案外本当かもしれないですね。

ちなみにフレームはバリがバリバリに残った物、鋳込みが不完全で巣が出来ている物、他から飛んで来たと思われる溶接時のビードが付いたままの物、果ては「ちょっと削りすぎちゃったかなぁ... まぁ、良いか」と言った物まで様々で見ていて飽きません。 時価平均で$2000以上の銃にはやっぱり見えませんが。

 

- Color -

最も色味がマシに出ている(と思われる)写真。

AMC Covina (#7000番台)

所有している中では最も新しい(80年代半ば)オートマグです。 相変わらずトリガーガード内のパーティング・ラインは凄いけど、それ以外は随分と穏やかで、全体的にはMGC(ABS)とマルシン(金属)の中間位の仕上がりです。 (天の声: おーい、どっちが本物だ〜?)


- おまけ -

5丁並べてみるとMGCのモデルガンが一回り小さいのが良く判ります。

写真を撮っていて、MGCのオートマグ(HW シルバー)がフレームの左右で色味が違う事を発見しました。 左の方が赤味が掛かった燻し銀なのに対して右がフラットな銀色で、メッキ(蒸着塗装?)のプロセスによる色むらの様です。 今まで全く気付かなかったけど個体差(俺のだけ?)でしょうか。 フレーム右側面の色が結構本物に近く、逆にグリップ部やバレルは赤が強すぎます。

しかしHW材は凄いですね。 大昔、発売と同時に買って遊び倒したMGCのABSモデル(組み立てキット)の記憶しか無かった為、最初に手に取った時に「おぉ〜!」とマジで唸ってしまいました。 弾入れなくてもあんなに重いなんて、当時(18年程前?)には考えられなかった事で、良い時代になったものです。

   

左から Pasadena Custom、TDE North Hollywood、TDE El Monte、AMC Covina、MGC HW
10.5”リブ無しバレルを支えている爪切り(嫁さん用)が家庭的。

 

最近Gun誌(の巻頭広告)を読んでチーフやM29のモデルガン、ガスガンが欲しくなり

きっと大昔のモデルガンから比べたら凄い進化してるんだろうなぁ... いいなぁ... 欲しいなぁ... 買っちゃおうかなぁ...

と嫁さんの前でさり気なく、でもしっかり聞こえるように囁いて見るも、

「モデル...」だからね、綺麗に見えて当たり前。 それに買ってもすぐ飽きるでしょ。

と見事に却下されてしまいました。 以前ウェスタンアームズのPro Killer Mk-II を買ってシェリフのアルミフレームに組替えるも、モノの数日で飽きて触らなくなった事をしっかりと覚えているようです。 手強い。


結び:

色々と悪く?書いたけど、やっぱり俺はオートマグが好きだな、カッコ良いし。 オートジャムでも良いじゃん。(注: 実際にはそんなにジャムりません。 後日別記します。) あんまり無いよ、夢?を持って創られた銃なんて。 フェルッチオ・ランボルギーニがトラクターからスーパーカー造りに鞍替えした時の話(実話の方じゃなくて、ランボルギーニ神話として語られてる方ね)みたいでさ。

Ferrari や Lamborghini に通勤に使える完璧さを本気で求める人って居ないでしょ? みんな冗談では言うけど(^^)。 それと同じで、未完であってもそれを補って余りある魅力があればそれで良いんじゃないかな。

オートマグをキャリー・ガンにする(=実戦性能を期待する)のはまさにカウンタックで都内に通勤するのと同じ事だと思うし。 不可能じゃない(と思う)し実際にやったら凄くカッコ良いと思うけど、絶対に楽な仕事でない事も確実。 だからもしやるんだったらバックアップとしてメルセデスやBMW(S&WやColt)も同時に持つべきかな、と。 カウンタックなら「あ〜あ、壊れた」で済むけど銃が実戦で壊れたりジャムったらシャレにならないからね。

 


追記. Pasadenaモデルと North Hollywoodモデルの比較:

Photo: 2/5/2003

写真をクリックすると拡大表示します。

比較:
初期に製造された二丁のオートマグについて比較してみましょう。

Early Pasadena Gun --- Pasadena Days (最初期、〜1972年)に製造、出荷されたPasadenaマーキングを持つ銃の中でも特にシリアル番号1000番以下の物を指します。 これはAMCの破産〜TDEへの過渡期に製造され、本来はTDEとなる筈なのにPasadenaマーキングのまま出荷されてしまった銃との区別を明確にする為と、発売前の広告に釣られて大枚叩いた「新し物好き」(別名「勇気ある人柱」)への敬意?から来るものです。 多分...

North Hollywood Gun --- TDE移行後、最初に製造・販売された銃で、ある程度の部品をPasadena Gunと共用します。 一般的に最も良く出荷前調整された銃と言われています。

 

Pasadena Gun と North Hollywood Gun、細かな所に結構差があります。 大雑把に挙げて見ると

1 .グリップのチェッカーリングがフルからパーシャルに変わった
3. マズル・クラウンの仕上げが違う
3. フロント・サイトにレッド・ランプが装備されていない
4. リア・サイト・ブレードにスクエア・ノッチが無い

となります。

 

グリップ:
Pasadenaモデル用のフル・チェッカード・グリップは非常に喰い付きが良く、撃っていても殆ど滑りません。 しかしこの高グリップ力が災いして手の皮を剥く人が結構居たと言うことです。 またこのデザインは非常に製造が難しい(歩留まりや追加工の必要性等)為、次のNorth Hollywoodモデルからは中央のみにチェッカーの入ったデザインに改められました。

確かにフル・チェッカーのグリップは素手で撃つと痛いです。

 

マズル:
写真向かって右がPasadena、左がNorth Hollywood。 最大の違いはマズル・クラウンの処理で、Pasadenaは銃口部端面内側(ライフリング側)がちゃんとC面処理されているのに対してNorth Hollywoodは垂直に落としたままになっています。 扱い次第では銃の精度にも影響する部分なので、コストダウンの始まりを強く感じさせる部分です。


写真、ちょっと判り辛いかな?

 

サイト:
同じく向かって右がPasadena、左がNorth Hollywoodです。 Pasadenaのリア・サイト・ブレードに切られた手の込んだスクエアー・ノッチがNorth Hollywoodでは省略されています。 また、フロント・サイトのレッド・ランプもNorth Hollywoodには装備されません。

   
レッド・ランプの有無で狙い易さにも格段の差が出ます。


 

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